焼き物
- 加藤 誓(ちかい)
- 2022年8月17日
- 読了時間: 3分

毎週火曜夜8時 54 分放送の「開運なんでも鑑定団」は好きな番組の ひとつで、その中でも中島誠之助氏
その娘、森 由美さんの鑑定する 「焼き物のお宝」に
興味がある。
それは、40代の頃、岡山で白髪の「古美術商」の方に「備前焼」を教えてもらったからである。
備前焼は元々、日用品の大きな水甕(かめ)や酒徳利、すり鉢であったが昭和になって人間国宝の 金重陶陽氏や藤原 啓氏、その息子の藤原 雄氏
らの活躍で美術品へと変貌していったのである。
備前の田んぼの底の鉄分を多く含む粘土を材料とし、登り窯で赤松を燃やし千度の高温で
1週間も 窯焚き。その灰が自然釉薬となり「灰かぶり」「胡麻」が出来る。
また登り窯の位置によって酸化、 還元の窯変が出来、わらで陶器を縛って緋襷(ひだすき)や 粘土で被って牡丹餅(ぼたもち)の 景色などをつくる。
現在、備前の田んぼの粘土が減り、益々価格が高騰とか。
「加藤さん、古備前の型の良い大甕(かめ)が見つかったが、肥溜めの臭いがどうしても
とれない。 化学の力で何とかならないだろうか。とれたら300万円で売れるが。」
色々のアイデアを試した が上手くいかなかった。
また、「古色を出したいので、釉を溶かす毒物指定のフッ化水素が欲しい。」
仕事柄と資格で入手してあげた。
古美術商の裏側も色々知ることが出来たが、「これ、持っていた ら高くなるよ!」との勧めにのって最新作家の2~3万円の花瓶や酒徳利など買わされた。
それを切っ掛けに、有田焼、鍋島、古伊万里、柿右衛門、唐津焼、萩焼、砥部焼、白磁.青磁、 井戸茶碗、織部、黄瀬戸、楽茶碗、曜変、油滴天目、益子焼、信楽焼、九谷焼、
京焼仁清、常滑焼、 萬古焼、景徳鎮、南京赤絵、薩摩焼、高麗茶碗、マイセン、呉須赤絵等々を勉強。
付け高台、削り高台、切り高台、かいらぎ、刷毛目、菊練り、手びねり、ろくろ、板づくり、 飛び鉋、面取り、しのぎ等々の専門用語。あちこちの陶磁器資料館も見学。

そのお蔭か、お宝鑑定は比較的良く当たる。
鑑賞は好きだが、陶芸はしない事にしている。 福山鞆の浦の会社の会長が趣味で備前焼の湯のみを作っていた。 粘土代金も安くないがそこは会長、
毎日ろくろで数多く作るのだが 分厚く、その上焼も甘くお世辞も言えない作品が山と積み重なっていた。会長は出来が良いと思っ ているのか来客の私に
お土産としてくれた。焼き物がそれなりの作品(物)になるには、相当の数 を作らなければ出来ないことを知った。素人は素人だ。
趣味での陶芸は楽しいものであることは 否定しない。
仮に私が、陶芸を始めたとしよう。
土をかまい、形になっていくのは誠に楽しい。色んなものを作ってみる。
釉、絵付けをし、焼に 出す。一度焼き上がった陶器は、出来が悪くても愛着があり、割ることがどうしても出来ないのだ。
最初の分厚い作品は床の間の台に飾り、そのうち数が増えると下に並べ、さらに増えると 「ちょっと!食器棚にガラクタを置かないで!」と𠮟られ、押し入れの棚に運ばれる。
そして、とうとう(陶陶)ベランダ、お庭行き。
「あなた、どうも最近蚊が多いと思ったら、 ガラクタの焼き物にボーフラがわいていたわよ!」とのお叱り。
それでも「いい仕事してますねぇ!」と言われたく陶器は、増え続けてゆく事になる。
やはり、焼き物は、鑑賞、「開運なんでも鑑定団」で楽しむことにする。
「開運なんでも鑑定団」は毎回楽しみに観ています。焼き物にお詳しいんですね。以前NYでアメリカ人の先生から陶芸を習っていましたが とても重くて食器には使えません。昔 大阪に住んでいた頃 丹波焼を求めて窯元に行き 市野伊作さんの作品を購入しました。
以前 私はアメリカにアンティークを求めて旅行していました。オキュパイドジャパンの人形はかなり持っています。占領下の日本というサインがやるせなかったのが理由です。センチメンタルジャーニーです。暑い折 お体にご留意ください。 奥田英子