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ソーシャルスタンス


少し肌寒くなったが、気持ち良い朝である。

「ゴミ出し」のついでに、 近くの植田川の散策に出かけた。土手には曼珠沙華が咲き誇っていた。

一昨日の台風15号の影響で色づいた桜葉が道一面に

べっとりと 落ちていた。所謂、「濡れ落ち葉」状態である。滑らないよう注意 しながら、川上へと向かった。


川に何かいないかと、覗いていたら川上から白鷺が一羽

飛んできた。

特に餌をさがす様子もなく川の中を歩き廻り始めた。

そして、時々飛んできた川上の方を見詰めるように眺めていた。 私もそちらの方に目をやった。


20メートル程先にもう一羽、 川底を突いている白鷺がいた。

「ははーん!つがいだな。」 そこで、暫く夫婦と思われる二羽の行動を観察することにした。

「おーい!何やってんだよ。こっちに早く来いよ。うまそうなのが 一杯あるぞ!」「ここにも丁寧に探せばありますよ!ほら、あった。 またあった。」

どうも、川上が雌で、川下が雄のようだ。

一般的に男は、せっかちで、おおざっぱであり、女は丁寧であるが、 しつっこい。

鳥の社会もそうにちがいない。

「そんなに探さなくても、ここには沢山あるぞ。聞こえないのか!」 とばかり、

男は、川上へ急ぎ足。少しずつ男女の距離が近づいた。

それでも女は男を見ようとはしない。マイペースで餌を突いている。

そんな様子を見ていたのは私だけではなかった。

川下から来た、 一羽のカルガモである。

「白鷺さん、いや、コサギさんですよね! お仲の良いことで!羨ましい。」このカルガモは、女に違いない。

カルガモの男は子育てにも一切協力せず、用がある時以外は別行動。 勝手気ままな性格なのである。

カルガモの女は「どうしたら男を引き 付けることが出来るのか?」とこの機会を逃さない様一生懸命観察 しようとしているのだ。

コサギ夫婦の間をしつっこく嗅ぎまわる カルガモの女。たまらず、コサギの女が川上へと逆戻り。カップルの 距離もだんだんと離れていった。


「そんなに他人を気にしなくっても いいじゃないか。」と大きな声を発しながら、男は羽を広げ飛びかかる 様に追いかけた。


女はびっくりし、逃げようと羽ばたいた。

そして、私と、カルガモを残して飛び去り見えなくなった。


カルガモには分かったかどうか知らないが、私は何となく分かった。




夫婦間の円満の秘訣は、「ソーシャルスタンス」が 大事であるということが!

 
 
 

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